WEB講座「教えて在宅ホスピス」

第61回 大切な方と別れる悲しみ(悲嘆)とそのケア

2014-08-21

 大切な方とのお別れの前後の時期の悲しみを悲嘆(グリーフ)と呼びます。患者さんが亡くなる前に残される方が経験する悲嘆を予期悲嘆と呼びますが、ここでは患者さんが亡くなった後の死別後の悲嘆についてお話しします。

Q.悲嘆反応にはどのようなものがありますか?

 以下のような反応が出ることがありますが、基本的にはこれらは正常な反応であると考えて良いでしょう。

1. ショック  
2.混乱    
3.不安    
4.怒り    
5.後悔と懺悔 
6.悲しみ   
7.抑うつ   
8.身体の不調 

Q.悲嘆に対してどのように向き合えば良いですか?

 悲嘆は正常な反応ではありますが、深い悲しみからできるだけ早く立ち直るに越したことはありません。立ち直るプロセスは人それぞれですが、以下のようなことが助けになるかも知れません。

・悲しみの体験を知る…本を読む、講演会に参加する。悲嘆が自然な反応であることを知るだけでも少し安心できます。
・気持ちを話してみる…感情を抑え込むことでかえって悲しみが深くなり身体に影響を与えかねません。周囲の人に話を聴いてもらうことも大切です。
・遺族会などに参加してみる…同じ体験をした人と語り合う機会は、悲しみを理解するだけではなく孤独感を和らげてくれることもあります。
・気持ちを書いてみる…日記やノートに思いを書きとめると気持ちが少し整理されることがあります。
・身体によいことをしてみる…ゆっくり休養すること、栄養をしっかり摂ること、軽く身体を動かすことなど生活のリズムを安定させることが心の回復にも役立ちます。
・専門家に相談してみる…悲しみが非常に長く深く続く場合、日常生活にも影響を与える場合は心療内科など専門家に相談することも大切です。
・周りの人の助けを受け入れる…周りの人が何か助けになりたいと思っていることがあります。全てを一人で抱え込まず、時には周囲の人に頼ることも必要です。

Q.悲嘆のケア(グリーフケア)の具体例を教えて下さい

 医療機関によって異なりますが、遺族会の開催、電話や手紙によるサポートなどを実施しているところがあります。当院では担当看護師が電話でのサポートを行い、ご遺族の状況に応じて直接ご自宅に伺うこともあります。
 又、当院では『ほっとサロン“手と手”』という遺族会を年に数回開催しています。この会は在宅で家族を看取った遺族同士が、様々な思いを分かち合い、これからの歩みの糧になることを目指しています。互いのプライバシーを守ること、互いの話しに意見や批判をしないことなど最低限のルールはありますが、自由な雰囲気で語り合って頂きます。誰にも話せなかった思いを表出することが出来る方もいますが、必ずしも無理に話す必要はなく、ご自分にとって心地良い参加の仕方で良いのです。他の参加者の話を聴くことだけでも気持ちが整理されることもあるようです。参加された方からは「区切りをつけることができた。」「○○という言葉を聞いて自分も勇気づけられました。」などの言葉を頂きます。 
 我が国ではまだまだ遺族に対するケアは十分ではありませんが、医療機関に遺族会がない場合も地域によってはサポートグループや自助グループが生まれつつありますので、お住まいの地域の情報を得ることも重要です。
 悲嘆が非常に強くて、なかなか元の生活に戻ることができない場合は、病的悲嘆(悲嘆が強く、病的になった状態)の場合もありますので、専門家(心療内科や精神科、臨床心理士など)の支援を受けることも検討しましょう。自分から一歩踏み出す勇気が必要かも知れません。お困りの時は、身近にいる医療者や相談員に相談することも良いと思います。

院長 前野 宏

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