WEB講座「教えて在宅ホスピス」

第63回 家族に知っておいてほしいケアについて

2014-06-20

終末期がん患者さんにとって家族と過ごす時間はかけがえのないものです。「わが家の特室(寝室)でとても優秀な看護師(奥様)が専属でいてくれるんです!」と笑顔で言って下さった患者さんもいました。家族の関わりや細やかなケアによって、患者さんは心身ともに心地よく過ごすことができます。家族にとっては特別ではないあたりまえの日常の営みが、実は患者さんからのかけがえのない贈り物であることを知る機会となります。

Q .在宅ホスピスにおいて家族ができるケアを教えて下さい

①自分で自分のことができなくなったとき

病気の進行に伴い、患者さんは足に力が入らなくなったり、動けなくなったり、昨日まで出来ていたことができなくなる辛さが出現します。この様な時、家族の皆さんは「明日になれば元気になるさ」といった励ましを言いたくなり  ますが、それはこらえて、そっと寄り添い、患者さんが自分でできない部分だけを援助するように心がけましょう。

②薬が飲みにくくなったとき

ヨーグルトやお薬ゼリーなどに混ぜて小さなスプーンにのせて飲んでみると飲みやすいことがあります。服用が大変な時には無理をせず、医師・看護師に相談しましょう。

③水分が飲みにくくなったとき

以下のようなことを試みて下さい。
・ストローが吸えないときはストローを短くしてみる
・コップの口が広いものにして鼻が当たらないよういしてみる
・吸いのみやベビー用マグカップなどを試してみる
・飲むゼリーや増粘剤などを少量加えてみる
・ストローをスポイトのようにして口に垂らす
・スプーンで少量ずつ介助してみる
・氷を口にふくむ

suinomi  吸い飲み   mug   ice  氷

④口の中をきれいにすることができないとき

患者さんは徐々に唾液の分泌が低下し、口の中をきれいに保つ力が弱くなります。以下のことをやってみましょう。
・ベッド上でもできるように洗面器や小さなボールなどを利用してブラシをかけ、ゆすぐ
・スポンジブラシなどを使用する
・口内の乾燥には保湿剤などで保護する。唇の乾燥にはリップクリームやワセリンなどで保護する
・飲み込めない唾液は、顔を横向きにして口から出しやすい姿勢をとる
・口の中でネバネバする時は、軽く湿らせたスポンジブラシやティッシュペーパーなどで、巻き取るように取り除く
sponge スポンジブラシ  tube  006口腔ケアブラシ

⑤寝がえりができず、同じ姿勢が辛い時や床づれを予防する必要があるとき

患者さんは病状によって、例えば右側に傾いた体位しかとれないことがあります。同じ姿勢を長い時間続けると、循環が悪くなったり、身体が凝ったりして、痛みを感じることさえあります。そのような時は、やさしくゆっくり手足 の関節を曲げ伸ばして、筋肉の緊張をゆるめ、無理のない体位を作りましょう。小さなクッションや枕、ビーズクッション、バスタオル等で日中は2~3時間位を目安に患者さんが楽そうなポジションを工夫します。患者さんが楽にな る体の向きを見つけ、ほんの少し体の位置をずらしたり、下着のシワを伸ばすだけでも楽になることがあります。
この様な時、硬さの調整可能なエアマットを使う方が良い場合がありますが、上記を含め、状態に合ったケア方法を看護師に指導してもらいましょう。

⑥声が小さくなって家族を呼べない、お話ができなくなったとき

手は使えるけれど、声が出づらくなり、人を呼べない時は、呼び鈴やワイヤレスの室内ベルなどをコールとして使うと良いでしょう。後者は生活用品店や家電量販店などで売っています。お話ができない時は、「お水?」「寒い?」 「体の向き変える?」など具体的に尋ねると声が出なく首ふりやうなずき、瞬きなどの反応で確認ができます。「痛い?」「苦しいの?」等とつらさを繰り返し尋ねると患者さんはこれからそうなっていくのかと不安になってしまうか も知れないので気をつけましょう。

⑦患者さんからの特別なサインを感じたとき

患者さんが自分の葬儀のことを話したり、気がかりなこと、感謝のことばを口にしたりすると、聞いた方はビックリして、「そんなこと言わないで」とか「元気になるから大丈夫」などとその場しのぎの返答をしてしまいがちです。 しかし、そのようなことは患者さんが意を決して伝えようとしていることが多く、患者さんの言うことを否定しないで何を言いたいのかしっかり聴くように心がけましょう。また、手をつないでほしいとか、傍にいてほしいなど普段し ないような要求があったら、それは患者さんからの特別のメッセージですから、あわてて拒否せずに贈り物を受け取るように大切に、ゆったりと接しましょう。
田中ひとみ(緩和ケア認定看護師)

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