WEB講座「教えて在宅ホスピス」

第52回 在宅ホスピスの費用について

2014-08-22

WEB講座 第52回 在宅ホスピスの費用について

 在宅で医療や介護を受けながら療養するには高額な費用が掛かると思っている方も多いのではないでしょうか? ところが、実際には医療も介護も公的な保険制度や各医療制度(生活保護、心身障害、特定疾患など)が適用されますので、病院に入院したときに掛かる総費用と比べるとそれ以下か、または同じぐらいと考えていただいて良いと思います。

 在宅ホスピスに掛かる費用は、医療にかかる部分と、必要に応じて利用する介護にかかる部分の大きく2つに分けて考えると分かりやすいと思います。

Q1.医療に掛かる費用はどれくらいですか?

 在宅ホスピスの場合は、通常の在宅医療と比べて医師や看護師の訪問頻度が高くなります。当院の場合は、症状やケアの内容にもよりますが、多くの患者さんに対して1週間のうち4日を医師(訪問診療)または訪問看護師が定期的に訪問していますし、お看取りが近くなると連日訪問することも少なくありません。したがって、医療費も高額になります。
 しかし、国民健康保険や後期高齢者医療制度、社会保険などの公的な医療保険制度には、患者さんが1ヶ月間に負担する医療費の上限額が決められている高額療養費制度が適用されますので、最終的には下記の表1に記載された自己負担限度額までをお支払いいただくことになります。

【表1】
1ヶ月にかかる医療費の上限について(高額療養費制度)平成26年4月1日現在

世帯区分 負担率 自己負担限度額
(入院・通院(在宅)共通)
上位所得者(区分A) 3割 150,000円
+(医療費総額-500,000円)×1%
83,400円
一般(区分B) 3割

80,100円
+(医療費総額-267,000円)×1%

44,400円
市民税非課税(区分C) 3割 35,400円 24,600円

(※)多数該当(当月を含む過去12か月以内に高額療養費に該当した月が
3回以上あった場合、4回目から適用される自己負担限度額)


■70歳以上の方(国民健康保険および後期高齢医療)

世帯区分 負担率 自己負担限度額
通院(在宅) 通院(在宅)+入院
現役並み所得者 3割 44,400円 80,100円 (注1)
(44,400円)(注2)
一般

1割
または2割

(注3)

12,000円 44,400円
市民税非課税 8,000円 24,600円(Ⅰ)

15,000円(Ⅱ)

(注1)医療費総額が267,000円を超えた場合、超えた額の1%を加算
(注2)多数該当(当月を含む過去12か月以内に高額療養費に該当した月が3回以上あった場合、4回目から適用される自己負担限度額)
(注3)平成26年4月1日以降に70歳に達する方は2割負担


Q2.院外処方された薬剤費は高額療養費の対象になりますか?

 対象になります。院外処方された薬剤費については薬を受け取った調剤薬局に一旦支払いますが、診療所に支払った医療費がすでに自己負担限度額を超えている場合、または、薬剤費を合算することによって自己負担限度額を超える場合は、申請により(後期高齢者医療を受給されている方は申請の必要はありません。)、超えた金額が後日支給されます。

Q3.訪問看護ステーションを利用する場合はどうですか?

 当院の場合は、当院の医師や看護師が訪問しますが、診療所(または病院)から医師が訪問し、訪問看護ステーションから看護師が訪問する体制がむしろ一般的です。その場合は、診療所と訪問看護ステーションに表1で示した自己負担限度額までをそれぞれ一旦支払いますが、最終的には両方に支払った医療費を合算して自己負担額を超える場合は、申請により(後期高齢者医療を受給されている方は申請の必要はありません。)、超えた金額が後日支給されます。また、院外処方された薬剤費についてもQ2.の回答と同様の取り扱いができます。

Q4.このほか公的な医療保険が適用にならない費用がありますか?

 交通費は医療保険の対象外になります。金額は診療所や訪問看護ステーションによって独自に設定されています。このほかに、診断書や証明書の発行料、訪問看護師による休日訪問加算や死後処置費(エンゼルケアとも言います)などが保険外の費用として設定されている場合がありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。

Q5.介護に掛かる費用はどれくらいですか?

介護保険制度のしくみやサービスについては「第48回介護保険について」を参照してください。介護保険サービスには様々なものがありますが、在宅ホスピスで療養している患者さんが主に利用するサービスと費用について下記の表2を参考にしてください。
介護保険制度の介護サービスは、利用できる対象者、サービス内容や時間などが制限されています。民間で運営するホームヘルパー、家政婦サービス、有償ボランティアなどを利用することによって介護体制をとのえることも時には有効な手段です。サービス内容や費用についてはそれぞれの事業所に確認してください。

Q6.結局、在宅ホスピスにかかる全体的な費用はどれくらいになりますか?

当院で担当している患者のAさんを例に費用について考えてみましょう。Aさんは76歳の男性です。大腸がんの末期と診断され、ほぼ寝たきりの生活となりましたが、自宅で最期まで過ごしたいと希望しています。3つ年下の奥さんと、当院から約3㎞離れた自宅に二人で暮らしています。後期高齢医療を受給しており、世帯区分は一般です。介護保険は要介護3の認定を受けています。Aさんが負担した1ヶ月の費用について下記の表2を参照してください。

表2 Aさんが1ヶ月に支払う費用(平成26年4月1日現在)

  項 目 負担額 備考
医療費関係 医療費
(医師や看護師の訪問)
(医療処置、薬代など)
1万2000円 高額療養費制度による
自己負担限度額
交通費 6400円 訪問1回につき
往復400円×16回
合 計 1万8400円  
介護保険
サービス
電動ベッド+付属品 1550円 月額レンタル料
床ずれ予防マットレス 900円 月額レンタル料
ポータブルトイレ 7000円 初回購入費のみ
ホームヘルパー 3680円 460円×週2回
訪問入浴サービス 5520円 1380円×4回
合 計 1万8650円  
医療+介護の合計 3万7050円

※福祉用具は品物によって金額が異なります。


在宅ホスピスでは、ここで述べた費用のほかに、生活していくために必要な費用、つまり食費や水道光熱費がかかります。一方、入院の場合は、医療費のほかに食事療養費がかかりますし、個室の場合は室料がかかります。また、ご家族の面会のための交通費なども考えると、冒頭でも述べたように、総費用を考えると在宅ホスピスの方が、入院の費用のそれ以下か、または、同じくらいと言えると思います。

また、この章では在宅ホスピスで掛かる費用についておおまかに示しましたが、詳細については、病院の医療相談窓口、診療所、訪問看護ステーションなどにお尋ねください。

ソーシャルワーカー 提箸秀典

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