WEB講座「教えて在宅ホスピス」

第8回 がんになっても最期まで家で過ごすことができます-在宅緩和ケア(在宅ホスピス)について-

2013-01-17

 さて、いよいよこの講座の本題であります「在宅緩和ケア」についてお話ししたいと思います。

 今まで、緩和ケア(ホスピスケア)についてお話ししてきましたが、要するに「在宅緩和ケア」とは在宅で行われる緩和ケアのことです。すなわち、緩和ケアという意味では、緩和ケア病棟であろうと一般病棟であろうと在宅であろうと同じです。つまり、緩和ケアとは、がんの終末期といった重篤な疾患を持つ患者さんとご家族の(全人的な)苦痛を緩和し、彼らの希望に沿った生活を支えること(QOLを向上させること)を目的とし、そのために多職種のチームを組んで提供されるケアのことです。場所が違っても提供される緩和ケアの本質は同じですが、現実的には場所が違うことによって生じる違いは少なからずあります。

 連載の第6回でもお話ししましたが、病院で提供される緩和ケアと在宅で提供される緩和ケアの一番の違いは病院の場合はA病院での緩和ケアは同じチームが関わります。すなわち、A病院の緩和ケア病棟では同じ医師がおり、看護師も同じ薬剤師も同じです。患者さんが変わるだけです。ですから、緩和ケア病棟においてはいつも同じメンバーとチームを組みやすいという特徴があります。つまり、緩和ケア病棟では「一体となったチーム」を組みやすいのです。

ところが、在宅の場合は、患者さんが住む地域によって、かかわる医師(在宅支援診療所)、看護師(訪問看護ステーション)、薬剤師(調剤薬局)のメンバーが変わることが多くなります。さらに、第6回で述べたように、在宅の場合は患者さんの生活を支えるために「介護保険」のメンバーが必ず関わります。例えば、ケアマネージャー(居宅介護支援事業所)、ヘルパー(訪問介護事業所)、介護福祉用具業者などです。このグループも地域によって変わりますので、在宅緩和ケアにおいてはチームメンバーがなかなか固定しづらく、「一体となったチーム」を組みづらいと言えます。

 しかし、在宅においても「一体となったチーム」が育ちつつあります。私達のクリニック(ホームケアクリニック札幌)には在宅緩和ケア(在宅ホスピス)専門の医師、看護師、ソーシャルワーカーがいるのでこの部分はいつも同じメンバーとなります。そして、それぞれの地域ごとに在宅緩和ケアをしっかりとお願いできるケアマネージャーさんやヘルパーさん達も徐々に増えて来つつありますので、毎回、チームメンバーが替わることがあっても「一体となったチーム」を組むことが出来るようになってきました。

 こうして、札幌市内で質の高い在宅緩和ケアを提供できるチームが育つことによって市内のどの地域に患者さんが帰ったとしても一定レベルの在宅緩和ケア(在宅ホスピス)が提供できるようになりつつあると思います。そういった受け皿があることが患者さんが安心して地域に帰ることができる大きな要因になるのです。札幌市内では近年、まだ地域による差があることは否めませんが在宅緩和ケア(在宅ホスピス)を担えるチームが育ちつつあります。そして、札幌市以外の地域においても急速に在宅緩和ケア(在宅ホスピス)の必要性に対する認識が高まってきており、徐々にその地域ごとの在宅緩和ケア(在宅ホスピス)チームが生まれつつあります。

 次回は、在宅緩和ケア(在宅ホスピス)が広がるきっかけとなった法律(がん対策基本法)についてお話ししたいと思います。

院長 前野 宏

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