第50回 訪問看護について

 在宅ホスピスにおいて最も活躍するのは訪問看護師と言って良いでしょう。患者さん、ご家族が家で安心して暮らすために、訪問看護師は患者さんの心身の状態やご家族の状態などを把握します。さらに医療・福祉・介護全般を考え、医師やケアマネジャー、ホームヘルパーなど多職種の方々と連携するために、コーディネーターの役割を担うことが多いのです。

Q1.在宅ホスピスではどのような場合に訪問看護が必要となるのですか?

 いつくかの例を示します。患者さんががんの治療中であったり、医療処置などがあっても大丈夫です。まずは医療機関や訪問看護ステーション、がん治療病院の地域連携室などでご相談してみましょう。

Aさん 
「通院しながら化学療法を続けています
が、食事も十分にとれないことがあっ
て、体調変化の度に受診するのが辛い
です。どうしたらいいのでしょう?」
Bさん
「退院して家に帰るのに、毎日している
点滴や注射はどうしたらいいんだろ
う?」
Cさん 
「腹水を抜くのに管を入れています。管
を入れていたら家に帰れないのでしょ
うか?」
Dさん
「主人が家で最期まで過ごしたいと言っ
ています。精神的にも辛くて、入院生
活も耐えられないようです。どうした
らその希望を叶えられますか?」

Q2.在宅ホスピスにおける訪問看護はどんなサービスでしょうか?

訪問看護ステーションなどから専門の看護師が患者さんのお宅を訪問し、
ケアを行います。訪問看護師は主治医の指示を受けて、病状の観察を行い、適切な判断に基づいたケアやアドバイスをします。さらに以下のことを行います。症状緩和に対する看護、必要な医療処置、鎮痛剤などを含めた薬剤の使用法や管理、在宅酸素等の管理、清拭や洗髪などを含めた日常生活の援助、化学療法・放射線治療などに関連したスキンケア、口腔ケア、リンパ浮腫のケア、ご家族等への介護支援や指導・相談、精神的なケア、リハビリテーション、家族ケア、死の準備教育、看取り期のケア、グリーフケア、関係機関との連携など、訪問看護師の役割は実に多岐にわたっています。
 また、医療処置としては、以下のようなものがあります。
医療用麻薬の管理や持続皮下注射、硬膜外持続鎮痛法の管理、中心静脈栄養・ポートの管理、胸水・腹水ドレナージ、末梢静脈点滴や皮下点滴、褥瘡(じょくそう)・創傷処置、膀胱留置カテーテル、人工肛門、腎瘻・膀胱瘻、PTCD(経皮経肝胆管ドレナージ)、腎盂カテーテル、各種カテーテルや各種ポンプの管理などです。

Q3.訪問看護に関する制度的なことを教えて下さい。

訪問看護の対象となるのは、年齢に関係なくひとりで通院が困難な患者で、主治医が認めた場合です。1回の訪問時間は、介護保険と医療保険の場合とで違いますが、介護保険はケアプランに基づき、1回、20分、30分、60分、90分の区分があります。末期がん患者はわが国では医療保険で対応することとなっていて、1回の訪問が30分~1時間半の目安です。主治医の指示、患者・家族の希望と必要性により、週1~3回などスケジュールを決めますが、病状などに応じて変化します。病状が悪化すると毎日のように訪問が必要な場合もあります。
費用の自己負担は年齢・保険の種類・所得によって違いますが、原則1~3割となります。自己負担が軽くなる制度(公費負担医療制度、高額医療費制度、高額介護サービス費等)もあります。

 「こんにちは!訪問看護です!」私達訪問看護師の笑顔で、沢山の苦悩を抱えて歩むがん患者さんとそのご家族に少しでも安心❤をお届けできればと日々走っています。皆さんにとって頼りになる存在となれるようチームの一員として努力してゆきたいです。

田中ひとみ(緩和ケア認定看護師)

第49回 訪問診療と往診

 医師が患者さんの自宅に伺って診察する方法には訪問診療と往診の2つがあります。

Q1.訪問診療と往診の違いは何ですか?

 訪問診療とは、病状に合わせた医療計画を立て、その計画に沿って定期的に訪問して診療することを言います。在宅ホスピスの場合は、毎週1回、曜日を決めて訪問診療を行う方がほとんどですが、病状が安定している方には、2週に一度訪問することもあります。
 一方、往診とは、急に病状が変化したときなど、臨時に伺って診察することを言います。在宅療養支援診療所は、施設基準として24時間往診可能な体制を確保することになっています。在宅ホスピスを検討する際には、がん患者さんとご家族が安心して自宅で過ごすためにも、医師が365日24時間の対応してくれることを確認しておく必要があります。

ソーシャルワーカー 提箸秀典

第48回 介護保険について

 在宅ホスピスにおいて、介護保険サービスは患者さんの生活環境を整えるために欠かすことができません。医療と介護をいかにバランス良く提供するかが、在宅ホスピスの良し悪しを決めると言って良いでしょう。
 介護保険制度は、平成12(2000)年の介護保険法の制定に伴いスタートしました。以前のわが国では、自宅での介護は家族が担うのが当たり前でしたが、介護保険制度によって社会全体で介護を担っていくこととなりました。

Q1.介護保険サービスにはどのような種類がありますか?

 介護保険サービスは、患者さんが療養している場所によって、利用できる内容が「在宅サービス」と「介護施設サービス」に分かれます(表1)。介護保険制度を利用することにより、介護サービス料金の原則1割負担で利用することが可能になります。在宅ホスピスを受ける患者さんのように、自宅で療養する方は在宅サービスを利用します。
 介護保険サービスは、原則65歳以上の方が利用対象者となります。これを第1号被保険者と言います。市区町村に申請した後、要介護または要支援の認定を受けた方が介護保険サービスを利用することができます。そのほか40歳~64歳で、がんなどの特定疾病をお持ちの方も申請することが可能です。こちらを第2号被保険者と言います。

Q2.介護保険サービスを利用するためにどのような手続きが必要ですか?

 お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に本人か家族が申請すると、訪問調査→1次判定→二次判定(審査会)と進み、申請から約1ヶ月を経て認定結果が通知されます(図1)。その結果を受けた後から介護保険サービスが利用可能になります。
 それぞれ要介護度によって支給限度額が決められており、限度額内であれば1割負担で介護サービスを利用でき、限度額を超えた部分は10割を負担することになります(表2)。ケアマネと相談しながら限度額の範囲内で必要な介護サービスを利用できるように、上手にプランを立てることが重要です。
 がん患者さんの場合は状況の変化が著しいため、認定結果が届くまでの1ヶ月間に残念ながら間に合わないことがあったり、申請した時点の身体状況と大きく変わってしまい、実際よりも低い介護度の結果が出るということが時々あります。こうした問題に対して厚生労働省は、がんの患者さんに対する以下のような緩和措置を講じています。

① 認定結果が出る前であってもサービスを利用開始することができる。
② 市区町村は申請から審査会までを迅速に対応し、できるだけ早く認定結果を出す。
③ 認定結果が出た後でも身体状況に合わせて再認定の申請をすることができる。
④ 介護用ベッドや車椅子は要介護2以上の方が利用できるが、医師の意見があれば要支援1・2、要介護1の方でも利用することができる。

 このように介護保険制度は、現在ではがん患者さんにとって利用しやすくなっています。

Q3.在宅ホスピスではどのような介護サービスが必要となりますか?

 まずは、安全で安楽な生活を整えるために福祉用具を利用する方が多いです。特にほとんどの方が介護用電動ベッドを利用します。これは患者さんが安楽に過ごせるばかりではなく、お世話する家族にとっても介護負担を軽くします。ベッド本体とマットレスを組み合わせてレンタルしますが、マットレスは通常の物のほか、褥瘡(床ずれ)予防マットレスやエアーマットレスがあり、皮膚や全身状態に合わせて変更できます。
 このほか、生活での安全を考えて車椅子や簡易手すりをレンタルしたり、シャワーイスやポータブルトイレを購入する方もいます。シャワーイスやポータブルトイレなどのように患者さんの肌が直接触れるものはレンタルではなく購入になりますが、これも介護保険制度により価格の1割負担で購入することができます。
 患者さんの病状が悪化し、身体状況が変化してきた時には、お世話をするのが大変になってくる場合があります。そのような場合には、訪問介護(ホームヘルパー)をうまく活用すると良いでしょう。訪問介護の内容には、掃除、洗濯、調理などの家事支援と、排泄、更衣、洗面、清潔、簡単なケアなどの身体介護があります。平成24年4月から「24時間定期巡回・随時対応型訪問介護サービス」という新しいサービスが開始され、定期的な訪問介護のほか、必要な時は24時間いつでも対応してくれます。
 また、自宅の浴室を使うのが難しくなった方には、訪問入浴介護が喜ばれます。専門の介護士や看護師がベッドサイドまで浴槽を持ち込んで、寝たままゆったりとお湯に浸かりながら入浴介助をしてくれるサービスです。

ソーシャルワーカー 提箸秀典


表1 介護保険サービスの種類
[在宅サービス]

家庭などに訪問を受けて利用するサービス
  • 訪問介護(ホームヘルパー)
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
家庭などから施設に通って受けるサービス
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
施設に入所して受けるサービス
  • 短期入所生活介護
  • 療養介護(ショートステイ)
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなどでの生活介護)
福祉用具や住宅改修など
  • 車椅子やベッドなど福祉用具の貸与
  • 入浴や排泄に使用する福祉用具購入費の支給
  • 手すりの取り付けなど住宅改修費の支給
その他
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム・要介護のみ)
  • 通所を中心にサービスを組合せた小規模多機能型居宅介護など

[公的介護施設サービス (要介護1~5の人が対象)]

特別養護老人ホーム 常に介護が必要で在宅での生活が困難な方が入所
介護老人保健施設 状態が安定し、家庭に戻れるようにリハビリテーションを中心とする医療ケアと介護を受ける方が入所
介護療養型医療施設 急性期の治療が済み、長期の医療や医学的管理の介護の必要がある方が入所可

表2 在宅サービスの支給限度額

介護度 支給限度額(月) 福祉用具購入費 住宅改修費
要支援1 49,700円 1年間で10万円 同一住宅につき20万円
要支援2 104,000円
要介護1 165,800円
要介護2 194,800円
要介護3 267,500円
要介護4 306,000円
要介護5 358,300円

図1 介護保険サービスを利用するまでの流れ

申請
本人か家族が市区町村の介護保険窓口に介護保険被保険者証を添えて「要介護(要支援)認定」の申請をします。
地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に申請の代行を依頼することもできます。
矢印
訪問調査
市区町村の調査員が自宅または入院先に訪問して心身状態などの聞き取り調査を行います。
矢印
一次判定
訪問調査の結果に基づき、コンピューター判定が行われます。
主治医意見書
かかりつけ医に病状や認知症、障害などについて意見を求めます。
矢印
二次判定(審査会)
一次判定結果と主治医意見書をもとに、どれくらいの介護が必要か審査を行います。
矢印
認定・結果通知
要介護1~5、要支援1・2、非該当(自立)の8区分に認定され結果が通知されます。
非該当(自立)を認定された方は介護保険制度を利用することができません。

第47回 担当者会議

 在宅ホスピスは、医療や介護、行政、民間サービスなど、様々な社会資源を活用して支援体制を構築します。したがって、異なる事業所や機関に所属する各担当者が必要に応じて会議を開きます。これを担当者会議と呼びます。情報を共有したり課題を解決することは、チームの結束力を高めることにもつながり、在宅ホスピスを成功させる鍵とも言えます。

1.担当者会議の目的

 担当者会議とは、本来、介護保険制度の中で義務付けられた会議で、介護サービスの開始や変更、介護認定の変更などがあった際に、ケママネが招集して開催されます。しかし、在宅ホスピスの場合は、単に介護サービスにとどまりません。在宅ホスピスを成功させるためには、チームメンバーが患者さんと家族の希望に沿ったゴールをその都度確認し、各担当者が向かうべき方向性を常に一致させていくことが重要です。患者さんの病状が刻一刻と変化する中で、患者さんの状態やケア内容、あるいは家族の状況について各担当者とその都度共有していく必要があります。ですから在宅ホスピスでは、必要なときに医療者側から提案して担当者会議を開くことも珍しくありません。

2.在宅ホスピスにおける担当者会議の例

 Aさんは生活保護を受けながら一人暮らしをしていました。援助してくれる身寄りは一人もいません。しかし、Aさんは、自宅で最期を迎えることを望み続けました。いよいよ終末期を迎えたとき、生活保護のケースワーカーや葬儀社にも参加してもらって担当者会議を開催しました。Aさんが何とか最期まで自宅で過ごせるような介護体制を見直すほか、お看取りしたあとの各担当者の役割や連携方法なども確認し合いました。

 Bさんは、自宅では入浴ができなかったので近所のデイサービスを利用していました。どんなことがあっても病院で最期を迎えたくないと希望するBさんと、それを叶えてあげたい家族。Bさんは、デイサービスの利用中に急変して息を引き取ることも十分考えられる病状でしたので担当者会議を開きました。デイサービスの担当者に理解してもらい、急変時には救急搬送せずに、在宅医が往診することになりました。場合によっては、そのまま施設でお看取りすることも確認し合いました。

 Cさんは、終末期に近づき、自宅で最期を迎える体制になりました。手厚いケアが必要となり、高齢の奥様にとって負担が大きすぎます。すぐに担当者会議を開いてホームヘルパーの利用を開始することになりました。しかし、終末期の末期がん患者さんに対するケアに慣れているヘルパーさんは少なく、不安が一杯です。そこで担当者会議では、医師や看護師から死にゆく人の身体についてのレクチャーをしたり、実際に看護師と患者さんのケアをしながら留意点を確認し合ったりもしました。何か不安や疑問があればいつでも訪問看護師に相談して良いことを約束すると、ヘルパーさんたちは安心してサービスを開始していただきました。

ソーシャルワーカー 提箸秀典

担当者会議
(図)担当者会議の様子

第46回 訪問リハビリ

 患者さんが自宅でリハビリを受ける制度を「訪問リハビリテーション(訪問リハビリ)」といいます。訪問リハビリは、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、または、言語聴覚士(ST)などの療法士が、自宅や施設に訪問して行います。末期がん患者さんに対するリハビリは、身体機能の向上というよりも、生活の維持・改善や患者さんの希望を支えることを重視したものになります。

Q1.訪問リハビリの目的は何ですか?

 リハビリとは機能回復訓練を意味し、以前より病気や怪我で失われた身体機能を回復、あるいは、それを補うための新しい機能を獲得し社会に復帰させることを目的としていました。しかし、近年は、緩和ケアやホスピスケアでの末期がん患者さんに対するリハビリが患者さんのQOL(クォリティー・オブ・ライフ、生活の質)を高めるという観点から、注目されてきています。末期がん患者さんは、徐々に身体機能が低下してゆくことが多いですが、リハビリによって自分でできることを少しでも長く維持することができたなら、その喜びは計り知れません。

Q2.在宅ホスピスでの訪問リハビリにはどのような効果がありますか?

 第一に、自宅で安全に生活できるよう工夫します。最近はバリアフリーの家屋が増えてきましたが、病院や介護施設に比べると意外と障害が多いものです。階段はもちろん、元気な時には気にしていなかったちょっとした段差、スペース、トイレまでの動線などが、身体機能が衰えてくると大きな障害になってくることがあります。療法士のアドバイスによって動作を工夫したり、福祉用具の活用や環境を改善することで、不安を軽減して安全に在宅での生活を継続することができます。
 次に、少しでも長く自宅で過ごすことができるために支援できます。在宅ホスピスを希望した末期がん患者さんの誰もがいずれ動けなくなるという不安を抱えています。本当は最期まで自宅にいたいのに、トイレに一人で行けなくなったら家族に迷惑がかかるから、その時は入院をしたいと考えている患者さんが多くいます。しかし、訪問リハビリで身体機能を維持したり、動作を工夫することで、食事やトイレなど日常の生活動作が続けられるとしたら、患者さんの希望が支えられることでしょう。
 さらには、その人らしく生きるための支援ができます。体力がなくなっても好きな絵を描き続けたい、大好きな土いじりを続けたい、時々は外の空気に触れたいといった望みに対して、療法士は、患者さんの症状を把握しつつ安全にサポートできます。また、じっくりと付き合ってくれるのも訪問リハビリならではです。そうした望みが叶うことにより患者さんのQOLが高まり、生きる希望につながります。引いては、それが家族にとっての大きな喜びにもなるでしょう。

ソーシャルワーカー 提箸秀典

第45回 ソーシャルワーカー

 在宅ホスピスにおいて、患者さんと家族が抱える様々な悩みや問題に耳を傾け、それらを解決できるよう支援するのがソーシャルワーカー(SW)です。

Q1.SWについて詳しく教えてください。

 SWは、多様化・複雑化していく社会の中で、そこで暮らす人々が抱える様々な悩みや問題の解決を援助することを目的として生まれました。医療機関だけでなく、役所や学校、介護施設など様々な分野で活動していますが、医療機関で働くSWを特に医療ソーシャルワーカー(MSW)と呼び、医療相談員などの職名で勤務している医療機関もあります。近年、SWの必要性が認識され、多くの病院で配属されるようになってきていますが、在宅ホスピスに関わっているSWはまだ多くはありません。

Q2.在宅ホスピスにおいてSWはどのような役割を持っていますか?

 病気を抱えながら生活していく上で、病気以外でも様々な問題が患者さんと家族を取り巻きます。それは、医療費、介護、仕事、家庭に関する悩みや問題であったり、時には現在受けている医療そのものに対して不安を抱えている場合もあります。SWは、そうした悩みや問題、不安などに耳を傾け、助言したり、各機関と調整したり、社会資源を上手に活用することによって解決を図ります。社会資源とは、国や自治体の制度や行政サービス、企業などで提供する民間サービス、ボランティア団体などで行う支援活動などを総称して呼びます。
 また、SWは、医療者の中でも患者さんと家族とより近い立場にあり、医師や看護師には打ち明けられないような悩みを患者さんや家族から聴いたり、患者さんや家族に代わって医療チームや行政に働きかける代弁者としての役割も求められます。
 在宅ホスピス・チームは複数の制度の下で、いくつかの医療機関や事業所によって構成されますが、まとめ役としてSWは一番ふさわしい職種でしょう。
 在宅ホスピスの開始にあたって、患者さんと家族の状況やニーズ、居住地域などによって、ベストな在宅ホスピス・チームをつくるのがSWの役割として挙げられます。開始後は、SWは末期がん患者さんの特徴である刻一刻と変化する状況の中で、チームメンバーがいつも同じ方向に迎かい続けられるために、また、必要な支援をスピーディーかつスムーズに提供できるよう、常にチーム内の連携・調整する役割を担っています。

ソーシャルワーカー 提箸秀典

第43回 最初の訪問(初回訪問)

 在宅ホスピスチームの最初の訪問は、患者さんが病院から退院した日に行うことが多いです。初回訪問は重要ですのでその様子をお伝えしましょう。

Q1.どうして初回訪問が重要なのですか?

 患者さんは退院した日の夜に苦痛が出現するかも知れません。また、患者・家族は何かあったらどうしようと大きな不安を持っています。ですから、患者さんが家に帰ってからすぐに訪問することが大きな安心感に繋がるのです。
 初回訪問は、在宅ホスピスチームもできるだけ関係者が揃うようにしますし、患者さん側も主なご家族にもできるだけ集まって頂くようにします。
 関係者が最初に集まる意味は、
 ①最初の段階で患者さんの治療方針、ケアの方針を立てる
 ②家族にも患者の希望を聞いて頂き、今後の方向性を共有して頂く
 ③後日、関係者が一同に集まることはかなり困難
などがあります。

Q2.初回訪問にはどのようなことを行うのですか?

 まず大切なのは、患者さんの苦痛をできるだけ緩和することです。そのために、できるだけ細かに患者さんの症状を伺います。そして、それに対する対策を可能な範囲でその場で立てます。そのことが患者・家族の安心に繋がります。
 そして、特に大切なのは患者さんがどのようにご自分の病気を理解し、これからどのように生活したいかということを直接伺うことです。患者本人に話して頂き、その場にいる家族にもそれを聞いて頂くことが重要です。家族は意外と患者さんと直接病気のことを話すことは少ないものです。「え、そんなことを思っていたんだ。」ということはしばしばあるようです。
 そして、患者、家族の希望に添った今後の計画を立てます。訪問診療、訪問看護の訪問の回数、ホームヘルパーを導入するかどうか、介護用品(ベッド、手すり、ポータブルトイレなど)が必要かどうか、なども話し合います。
 そして、可能であれば家族だけのお話を聞く場合もあります。家族の理解を伺い、医師より患者の病状、今後の見通しを説明します。この時点で最期まで家で看る希望かどこかで入院をしてもらいたいと思っているかなども伺います。
 この最初の訪問で、患者・家族と医療・介護関係者が信頼関係を築き、今後の方針を立てることができるかどうかが良い在宅ホスピスケアができるかどうかに繋がるのです。

院長 前野 宏

第42回 退院前カンファレンス

 末期がん患者さんが治療病院から自宅に帰る際に在宅ホスピスチームと引き継ぎを行います。これを「退院前(あるいは退院時)カンファレンス」と言います。

Q1.退院前カンファレンスにはどのような職種が集まるのですか?

 退院前カンファレンスは患者さんの退院が決まった段階で病院で開催されます。退院前カンファレンスには、病院側から主治医、病棟看護師、退院調整看護師(あるいはソーシャルワーカー)、緩和ケアチームのスタッフなどが参加します。在宅ホスピスチームとしては、在支診の医師(これからの主治医)、訪問看護ステーションの看護師、ケアマネ、ソーシャルワーカーなど(場合によってはヘルパーなど)が参加します。

Q2.退院前カンファレンスの目的は何ですか?

 退院前カンファレンスの目的は
 ①病院から在宅チームへの医療情報などの伝達
 ②在宅チームを患者・家族へ紹介

 退院前カンファレンスでは医療情報ばかりではなく、家族の情報、患者の性格、人生観など、そして家屋状況等の情報も重要です。また、再入院が必要になった場合にどの病院に入院するかをあらかじめ決めておきます。
 また、病院の主治医から直接患者、家族に在宅ホスピスのメンバーを紹介して頂きます。もし時間がある場合には、その後患者あるいは家族と在宅ホスピスのメンバーとが面談をして、具体的な在宅ホスピスの内容や制度のことを説明する場合があります。

Q3.退院前カンファレンスの意義は何ですか?

 患者、家族は家には帰りたいのですが、慣れ親しんだ病院から離れ、知らないスタッフに身を委ねることに不安を持っています。事前に在宅ホスピスのスタッフを紹介して頂くことは安心感に繋がるのです。
 また、今後、病院と地域の連携がスムースになるためにこのような退院前カンファレンスを繰り返し行うことを通して、病院チームと在宅チームの良好な関係が作られてゆくという意義もあります。

院長 前野 宏

asd
(図)市立札幌病院での退院前カンファレンスの様子

第41回 調剤薬局について

 在宅ホスピスにおいて薬の処方は主に調剤薬局から行われます。(一部診療所から処方される場合もあります)しかし、24時間、休日でも対応してくれる調剤薬局はまだ多くはありません。

Q1.調剤薬局のことを教えて下さい

 在宅医療を専門に行っている診療所では、多くの場合、薬の処方は院外処方です。院外処方とは、医師が患者さんに処方箋を交付して薬を調剤薬局から受け取ってもらうことで、院外処方箋を取扱う調剤薬局であれば、患者さんが自由に選ぶことができます。最近は自宅や施設まで配達してくれる薬局が増えてきていますのでとても便利になりました。配達してくれるだけでなく、薬剤師が薬の管理や飲み方などを親切に指導してくれる薬局もあります。(ただしこの場合、薬剤管理指導の料金が発生します)

Q2.調剤薬局を紹介してもらうことはできますか?

 がん患者さんの場合は、症状や状態に合わせて医療用麻薬などの種類や形態が変わりやすいため、処方の可能性がある薬剤をいつでも在庫していて24時間出すことができる調剤薬局であるかがポイントになります。がんの痛みは待ってくれませんので、処方された薬の入荷に数日かかるというようなことでは患者さんが困ってしまいます。そのようなことを考えますと、在宅ホスピスで対応できる調剤薬局は非常に限られてくるのが現状です。大概は、かかっている診療所から、診療所が連携しやすい調剤薬局をいくつか案内されると思いますので、そこから選ぶことになるでしょう。

ソーシャルワーカー 提箸秀典

第40回 地域包括支援センターについて

 末期がん患者さんが介護保険を使うとき、まだADL(日常生活動作)が良い段階では、地域包括支援センターのケアマネジャー(以下、ケアマネ)が担当する場合があります。

1. 地域包括支援センターはどんな役割を持っていますか?

 地域包括支援センターは、2005年にスタートした制度で、その地域に住む高齢者の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防などを総合的に行う機関として各市区町村に設置されています。センターには、保健師、ケアマネジャー、社会福祉士が配置されていて、それぞれの専門性を活かして様々な問題解決に取り組んでいます。高齢者やその家族にとっては、介護のことや医療のことなど内容にかかわらず相談できる窓口ですので、以前のように、内容によってどこに相談して良いのか分からないといった悩みが少なくなったように思います。
 介護保険サービスに関しては、居宅介護支援事業所のケアマネが要介護1~5の方を担当するのに対して、要支援1と要支援2の方は、地域包括支援センターのケアマネが担当します。末期がん患者さんでも初期の段階では、それほど介護サービスを必要としない要支援1や要支援2と認定される方も少なくありませんので、在宅ホスピスに地域包括支援センターのケアマネがチームメンバーとして加わることもあります。

2. 要支援と要介護では介護サービスが違いますか?

 表のように、要支援の方と要介護の方では利用できる介護サービスの内容や量が異なります。ADL(日常生活動作)が変化し、これまでよりもサービスが必要になった時には、いつでも再認定の申請を出すことができます。認定調査の結果、要介護に認定された場合は、居宅介護支援事業所のケアマネへと引き継がれることになります。

3. 私を担当してくれる地域包括支援センターを知りたいのですが?

 お住まいの地域によって担当するセンターが決められていますので、市区町村役場に問い合わせてください。札幌市の場合は、各区に2~3ヵ所のセンターが置かれており、同じ区でも担当地域が異なります。

ソーシャルワーカー 提箸秀典

【表】要支援と要介護の介護サービス(在宅)の違い

サービスの種類 要支援1~2 要介護1~5
ケアマネ 地域包括支援センター 居宅介護支援事業所
訪問介護 「身体介護」「生活援助」の区分はなく、「通院等の乗降」は利用不可。 「身体介護」「生活援助」を分けて利用し、「通院等の乗降」は利用可
デイサービス・デイケア 要支援1→概ね週1回
要支援2→概ね週2回
「運動機能向上」「栄養改善」「口腔機能向上」のサービスを追加して利用可。
単位内であれば回数の制限はない
福祉用具の貸与 「要支援~要介護1」の人は車いすや介護用ベッドのレンタル不可 ※1 「要介護2」以上の人は12種類の用具すべてレンタル可
夜間対応型訪問介護 ×(利用不可) 〇(利用可)
定期巡回・随時対応型訪問看護介護 ×(利用不可) 〇(利用可)

※1 主治医の意見書があればレンタル可能

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