WEB講座「教えて在宅ホスピス」 記事一覧
第14回 全人的苦痛(トータルペイン)について
前回は末期がん患者さんが経験する可能性のある症状についてお話ししました。実に多くの症状がありますが、もちろん患者さんがそれらの症状全てを経験する訳ではありません。しかし、多くの患…
第15回がんの痛みについて−いたずらに恐れずにまず敵を知ることが大事—
一般市民の方が「がん」について最も恐れていることは「全てのがん患者は痛みで苦しむ」「がんの痛みは最後になると強くなり、がん患者は苦しんで亡くなる」といったことではないでしょうか。…
第16回 がんの痛み治療法のスタンダード−WHO方式がん疼痛治療法−
前回の講座でお伝えしたとおり、一般市民の間では「がんの痛みは怖いものだ」という誤解が広がっているようです。そういった誤解が広がってしまった原因の一つは、つい20〜30年くらい前ま…
第17回 医療用麻薬(オピオイド)−がん患者さんにとってとても強い味方です−」
がんによる痛みの治療の主役はオピオイド(opioid;医療用麻薬)です。「オピオイド」のルーツは古く、紀元前よりケシの実から採取されたアヘン(opium)が鎮痛薬として用いられて…
第18回 手強いがんの痛みをどう取るか –大丈夫、いろいろな手段があります−
前回はがんの痛みに対する治療の主役はオピオイド(医療用麻薬)であり、内服薬や貼り薬のお話をしましたが、それ以外に注射薬もあります。しかし、オピオイドの量を増やしても、または種類を…
第19回 呼吸困難−「息苦しさ」に対しては色々な方法を合わせて対応します−
当院で在宅緩和ケア(在宅ホスピス)を提供したがん患者さん373人のうち、訪問開始時に呼吸困難を訴えられたのは26%でした。そのうち、肺がん患者さんに限ると44.6%で、肺がんの患…
第20回 吐き気・おう吐—ちょっとした吐き気も我慢しないでください—
今回は、つらい症状である「吐き気」について考えてみましょう。
一生に一度も「吐き気」を経験したことのない人は恐らくいないでしょう。それは、思い出しただけでもつらく、涙が出るほ…
第21回 腸閉塞について
今回のテーマは「腸閉塞」です。腸閉塞とは要するに小腸とか大腸が何らかの原因で詰まってしまうことで腸閉塞は痛みとか吐き気といった「症状」ではありません。難しく言うと「病態」あるいは…
第22回 だるさ(全身倦怠感)—「だるい」は大阪弁で「しんどい」、北海道弁で「こわい」です−
終末期がん患者さんの多くは大なり小なり「体がだるい」という症状を訴えられます。タイトルにも書きましたが、「体がだるい」という症状は非常に不思議なことに地域によって用いる言葉が異な…
第23回 食欲不振−「食べる量」よりも「食べる喜び」を大切に−
前回は「だるさ」についてお話ししましたが、今回は「食欲不振」についてお話しします。「だるさ」も「食欲不振」も終末期がん患者さんには大なり小なりほとんど全ての方に出現します。食欲が無…
第24回 せん妄(混乱)−患者さんは決して気が違ってしまったのではありません、進行がんの症状なのです−
今回は「せん妄」についてお話しします。「せん妄」という言葉は医学用語なので一般の方にはあまり馴染みがないと思います。もっとわかりやすい言葉で言うと「混乱」というと分かりやすいでし…
第25回 たかが便秘されど便秘
どなたでも大なり小なり便秘で不快な思いをされたことがあると思います。便秘はがん患者さんにとっては大敵です。がん患者さんの病状が進み、水分摂取が減り、体の動きが少なくなってくると便…
第26回 気持ちのつらさ
私たちは日常的にちょっとしたことで不安になったり気分が落ち込んだりします。それがひどくなると食事が取れなくなったり、仕事が手に付かなくなってしまうこともあります。しかし多くの場合…
第27回 社会的苦痛―家族、お金、仕事などの問題―
「人間は社会的動物である」(アリストテレス)と言われています。つまり人は色々な人たちとの関係(社会)の中で生きています。がんにかかりやすい年代は一般的に50才代以降であり、家庭に…
第28回 スピリチュアルペイン(こんな状態で生きていたくない)について
1.スピリチュアルペインとはどのような苦痛なのですか?
終末期の患者さんの苦痛(全人的苦痛)の中で最も根源的な苦痛はスピリチュアルペインです。これは生きる意味や価値を見失う…