第62回 レスパイト(家族の休息)
2014-08-21
家族にとってがん患者さんを自宅でケアするということは楽な面もありますが、長期になってくると、患者さんの病状によっては十分に休息できないこともあり、緊張も続くことから心身共に疲弊してきます。家族にも休息が必要なのです。家族の一時的な休息のためのケアあるいはサービスをレスパイトと呼びます。
Q. 家族のレスパイトの方法にはどのようなものがありますか?
患者さんの病状あるいは症状が落ち着いている場合は、介護施設におけるショートステイサービスが使えるでしょう。
患者さんの症状が不安定で何らかの医療的な関わりが必要となることが予想される場合には、介護施設でのショートステイは難しく、一時的な入院が必要になるでしょう。緩和ケア病棟の役割にはレスパイト入院も含まれますので、地域に緩和ケア病棟がある場合には相談してみると良いでしょう。また、以前治療をしていた病院の地域連携室などに相談してみるのも良いかも知れません。
ケアをしている家族が数日あるいは週単位のお休みをとるのは難しくても、毎日のケアの中でちょっとした休息の時間や気分転換の時間を作ることも必要です。そのために訪問看護師やヘルパーの訪問の時間やボランティアが訪問している間に家族に息抜きの時間を過ごしてもらうといったことも可能です。
このようにいろいろな工夫をしてケアをしている家族の疲労を回復することが患者さんが在宅で過ごす時間を長くすることに繋がるのです。
前野 宏
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