第1回 はじめに
2012-12-21
たとえ、末期がんになっても最期まで家で過ごすことができます。そのためには「在宅緩和ケア(在宅ホスピス)」という方法が必要になります。これから、およそ50回にわたって「在宅緩和ケア(在宅ホスピス)」についてお話をします。毎週、1~2回分をお届けしたいと思いますが、それでも全部終わるまで半年以上はかかると思います。辛抱強くお付き合い頂ければ幸いです。連載ではありますが、できるだけ、1回毎にテーマを設定し、毎回読み切りになるようにしたいと考えております。そして全部読んで頂ければ、たとえあなたやあなたのご家族ががんになっても最期までお家で過ごすことを現実的な選択肢の一つとして考えて頂けるのではないでしょうか。
何故この連載をすることを考えたかについてお話しします。私達は2008年7月から在宅緩和ケア(在宅ホスピス)専門の診療所「ホームケアクリニック札幌」を開設しました。そして今までに200人以上のがんの患者さんをご自宅でお看取りさせて頂きました。しかし、多くの患者さんやご家族の方から、「こんな方法があるとは知らなかった。」「もっと早くから知っていれば良かった。」「だれもこのような方法があることを教えてくれなかった。」という声を聞くのです。つまり、「末期がんになっても在宅で過ごす方法がある」ということを多くの人々が知らないということです。
私達は、医療者向けの講習会を開いたり、一般市民向けの講演会をたびたび開催したりしておりますが、まだまだ不十分だと感じています。そこで、今回、私達のホームページ上でWEB公開講座を企画しました。人生の終末期を住み慣れたご自宅で愛するご家族と共に過ごすことがいかに素晴らしいことか、そして、それは可能なのだということをこの連載を通して一人でも多くの方々にお伝えできればと考えております。
院長 前野 宏
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