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第33回 在宅でできる医療処置

2014-04-22

 在宅でもかなりの医療処置はできますが、病院と全く同じという訳にはいきません。どのような医療処置を在宅で行うかについては、在宅医療を行っている医師によっても異なると思います。

1.在宅でできる医療処置

 注射や輸液は在宅で行いますが、小さな手術、体に管(くだ)を入れるような医療処置は基本的に病院で行って頂き、在宅ではその後の管理を行っています。当院で行っている医療処置を(表1)に示します。
輸液のルートのうち、CVポート(皮下埋め込み型中心静脈ポート)、CVカテーテル(中心静脈カテーテル)、PICC(末梢挿入中心静脈カテーテル)は病院で挿入(手術)しますが、HDC(皮下輸液)は在宅でもできます。
排泄管理では、消化管ストーマ(人工肛門)、尿路ストーマ(人工膀胱)、腎瘻は病院で作製しますが、膀胱留置カテーテルは在宅でも挿入できます。
ドレーン(体内に溜まった液体を外部に排出するための管)は基本的に病院で挿入しますが、胃管についてはとりあえず在宅で挿入する場合もあります。

2.管(くだ)の管理

 病院で挿入(作製)した管は、基本的に在宅で管理することができます。つまり、何か管が体に入っているから自宅に帰ることができないということはないのです。管の管理とは、管が抜けないように固定する、管が詰まらないように観察するあるいは詰まった場合には再開通させるような処置をする、入浴をする際に感染しないように前もって対処するといったことです。これらは日常的に行わなければならないので、看護師が訪問した際にケアするのと、家族にもある程度のことを覚えて頂き、異常があったらすぐに連絡してもらうようにします。
管が抜けてしまったり、詰まってしまった場合にはできるだけ早く病院で対処してもらう必要がありますので、病院との緊密な連携が必要です。

3.スキンケア

 患者さんの皮膚に起こる色々なトラブルは患者さんにとって非常に煩わしいものとなります。がんが皮膚に及んで来る場合、褥瘡(いわゆる床ずれ)、それ以外の皮膚病変や創傷などです。これらは患者さんの病状が悪化してくると治すことができませんので、患者さんにとって苦痛とならないように日常的にケアすることが重要となります。これらは主に訪問看護師の仕事になりますが、訪問看護師はスキンケアに習熟していることが必要です。皮膚病変がひどい場合は一日に何度も処置が必要になることがあり、家族にもケアのやり方を覚えてもらって、処置して頂くことがあります。
 
 

在宅酸素療法 56(37.5%)
リンパ浮腫ケア 63(42.2)
輸液ルート管理 CVポート 47(31.5)
CVカテーテル 3
PICC 3
HDC 1
セデーション 62(41.6)
(坐薬:55、CSCI:22 ※重複あり)
排泄管理 膀胱留置カテーテル 33(22.1)
消化管ストーマ 8
尿路ストーマ 6
腎瘻 4
膀胱瘻 2
ドレーン管理 胸腔 5
腹腔 5
胃管 5
スキンケア 褥瘡 51(34.2)
創傷 12
腫瘍自壊創 4

(表1)当院で行われている医療処置および看護内容
(対象)2011年7月1日〜2013年6月30日の間に訪問終了した患者149人

院長 前野 宏

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