第38回 ケアマネジャー(介護支援専門員)について
2014-04-25
介護を必要とする患者さんが在宅で過ごすことを支える公的な制度が介護保険制度です。その中心的な役割を担っているのがケアマネジャー(以下、ケアマネ)です。
1. ケアマネはどのようのことをするのですか?
介護保険制度では、自宅で介護を必要とする方が、福祉用具、デイサービス、ホームヘルパー、住宅改修などの介護サービスを料金の1割負担で利用することができます。ケアマネ(介護支援専門員)は、それらの介護サービスを適切に利用できるように、心身の状況や生活環境、本人・家族の希望等にそってケアプランを作成したり、介護サービス事業所との連絡・調整などを行います。
ケアマネは居宅介護支援事業所と地域包括支援センターに所属しています。原則として、居宅介護支援事業所のケアマネは、要介護1~5の利用者(患者)を担当し、要支援1と2の方はお住まいの地域にある地域包括支援センター(後に詳しくお話します)のケアマネが担当することになっていますが、地域包括支援センターの委託を受けることによって居宅介護支援事業所のケアマネが要支援の方を担当することが可能です。今は比較的動けていても、病状の進行に伴って急に動けない状態になることが予測されるがん患者さんの場合は、要支援のうちから居宅介護支援事業所のケアマネに担当してもらうと、いずれ要介護に変更しても同じケアマネが引き続き担当するというメリットがあります。
2. 在宅ホスピスではケアマネはどのような働きをしますか?
在宅ホスピスを継続するためには、患者さんが安全に安楽で安心して生活できることが重要です。また、介護するご家族にとっても介護負担をできるだけ軽減することも大切です。慢性疾患と違って、症状や状態が日々変化するがん患者さんの場合は、介護サービスに関しても短い期間に修正していく必要があります。いずれ動けなくなるのであれば、先を見越して考えられるあらゆる福祉用具を準備しておくべきだという考えもあるでしょうが、多くの患者さんはそれを望みません。患者さんにとっては、「自分はまだできる。」という思いから、身体機能が一つ、また一つと、失われていく喪失感と不安感にさいなまれながら、やっとの思いで福祉用具やサービスを受け入れていくという過程が必要です。したがって、ケアマネには、患者さんに気持ちを尊重し寄り添いながら、必要になった時に迅速かつ適切に介護サービスを調整するというセンスと技量が求められます。
3.ケアマネを変える必要がありますか? また、はじめてケアマネをお願いする場合はどうしたらいいですか?
在宅ホスピスになるからと言ってケアマネを変える必要はありません。現在担当するケアマネが医療機関と連携を取りながら適切に対応してくれると思います。また、これから介護保険を利用しようと考えている方は、病院の地域連携室や医療相談室、または、在宅ホスピスをよく行っている訪問看護ステーション、在宅療養支援診療所などに相談すると良いでしょう。
ソーシャルワーカー 提箸秀典
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