第43回 最初の訪問(初回訪問)
2014-05-21
在宅ホスピスチームの最初の訪問は、患者さんが病院から退院した日に行うことが多いです。初回訪問は重要ですのでその様子をお伝えしましょう。
Q1.どうして初回訪問が重要なのですか?
患者さんは退院した日の夜に苦痛が出現するかも知れません。また、患者・家族は何かあったらどうしようと大きな不安を持っています。ですから、患者さんが家に帰ってからすぐに訪問することが大きな安心感に繋がるのです。
初回訪問は、在宅ホスピスチームもできるだけ関係者が揃うようにしますし、患者さん側も主なご家族にもできるだけ集まって頂くようにします。
関係者が最初に集まる意味は、
①最初の段階で患者さんの治療方針、ケアの方針を立てる
②家族にも患者の希望を聞いて頂き、今後の方向性を共有して頂く
③後日、関係者が一同に集まることはかなり困難
などがあります。
Q2.初回訪問にはどのようなことを行うのですか?
まず大切なのは、患者さんの苦痛をできるだけ緩和することです。そのために、できるだけ細かに患者さんの症状を伺います。そして、それに対する対策を可能な範囲でその場で立てます。そのことが患者・家族の安心に繋がります。
そして、特に大切なのは患者さんがどのようにご自分の病気を理解し、これからどのように生活したいかということを直接伺うことです。患者本人に話して頂き、その場にいる家族にもそれを聞いて頂くことが重要です。家族は意外と患者さんと直接病気のことを話すことは少ないものです。「え、そんなことを思っていたんだ。」ということはしばしばあるようです。
そして、患者、家族の希望に添った今後の計画を立てます。訪問診療、訪問看護の訪問の回数、ホームヘルパーを導入するかどうか、介護用品(ベッド、手すり、ポータブルトイレなど)が必要かどうか、なども話し合います。
そして、可能であれば家族だけのお話を聞く場合もあります。家族の理解を伺い、医師より患者の病状、今後の見通しを説明します。この時点で最期まで家で看る希望かどこかで入院をしてもらいたいと思っているかなども伺います。
この最初の訪問で、患者・家族と医療・介護関係者が信頼関係を築き、今後の方針を立てることができるかどうかが良い在宅ホスピスケアができるかどうかに繋がるのです。
院長 前野 宏
- 前の記事へ「第42回 退院前カンファレンス」→
- 次の記事へ「第45回 ソーシャルワーカー」→