第45回 ソーシャルワーカー
2014-05-27
在宅ホスピスにおいて、患者さんと家族が抱える様々な悩みや問題に耳を傾け、それらを解決できるよう支援するのがソーシャルワーカー(SW)です。
Q1.SWについて詳しく教えてください。
SWは、多様化・複雑化していく社会の中で、そこで暮らす人々が抱える様々な悩みや問題の解決を援助することを目的として生まれました。医療機関だけでなく、役所や学校、介護施設など様々な分野で活動していますが、医療機関で働くSWを特に医療ソーシャルワーカー(MSW)と呼び、医療相談員などの職名で勤務している医療機関もあります。近年、SWの必要性が認識され、多くの病院で配属されるようになってきていますが、在宅ホスピスに関わっているSWはまだ多くはありません。
Q2.在宅ホスピスにおいてSWはどのような役割を持っていますか?
病気を抱えながら生活していく上で、病気以外でも様々な問題が患者さんと家族を取り巻きます。それは、医療費、介護、仕事、家庭に関する悩みや問題であったり、時には現在受けている医療そのものに対して不安を抱えている場合もあります。SWは、そうした悩みや問題、不安などに耳を傾け、助言したり、各機関と調整したり、社会資源を上手に活用することによって解決を図ります。社会資源とは、国や自治体の制度や行政サービス、企業などで提供する民間サービス、ボランティア団体などで行う支援活動などを総称して呼びます。
また、SWは、医療者の中でも患者さんと家族とより近い立場にあり、医師や看護師には打ち明けられないような悩みを患者さんや家族から聴いたり、患者さんや家族に代わって医療チームや行政に働きかける代弁者としての役割も求められます。
在宅ホスピス・チームは複数の制度の下で、いくつかの医療機関や事業所によって構成されますが、まとめ役としてSWは一番ふさわしい職種でしょう。
在宅ホスピスの開始にあたって、患者さんと家族の状況やニーズ、居住地域などによって、ベストな在宅ホスピス・チームをつくるのがSWの役割として挙げられます。開始後は、SWは末期がん患者さんの特徴である刻一刻と変化する状況の中で、チームメンバーがいつも同じ方向に迎かい続けられるために、また、必要な支援をスピーディーかつスムーズに提供できるよう、常にチーム内の連携・調整する役割を担っています。
ソーシャルワーカー 提箸秀典
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