第50回 訪問看護について
2014-06-11
在宅ホスピスにおいて最も活躍するのは訪問看護師と言って良いでしょう。患者さん、ご家族が家で安心して暮らすために、訪問看護師は患者さんの心身の状態やご家族の状態などを把握します。さらに医療・福祉・介護全般を考え、医師やケアマネジャー、ホームヘルパーなど多職種の方々と連携するために、コーディネーターの役割を担うことが多いのです。
Q1.在宅ホスピスではどのような場合に訪問看護が必要となるのですか?
いつくかの例を示します。患者さんががんの治療中であったり、医療処置などがあっても大丈夫です。まずは医療機関や訪問看護ステーション、がん治療病院の地域連携室などでご相談してみましょう。
「通院しながら化学療法を続けています
が、食事も十分にとれないことがあっ
て、体調変化の度に受診するのが辛い
です。どうしたらいいのでしょう?」
「退院して家に帰るのに、毎日している
点滴や注射はどうしたらいいんだろ
う?」
「腹水を抜くのに管を入れています。管
を入れていたら家に帰れないのでしょ
うか?」
「主人が家で最期まで過ごしたいと言っ
ています。精神的にも辛くて、入院生
活も耐えられないようです。どうした
らその希望を叶えられますか?」
Q2.在宅ホスピスにおける訪問看護はどんなサービスでしょうか?
訪問看護ステーションなどから専門の看護師が患者さんのお宅を訪問し、
ケアを行います。訪問看護師は主治医の指示を受けて、病状の観察を行い、適切な判断に基づいたケアやアドバイスをします。さらに以下のことを行います。症状緩和に対する看護、必要な医療処置、鎮痛剤などを含めた薬剤の使用法や管理、在宅酸素等の管理、清拭や洗髪などを含めた日常生活の援助、化学療法・放射線治療などに関連したスキンケア、口腔ケア、リンパ浮腫のケア、ご家族等への介護支援や指導・相談、精神的なケア、リハビリテーション、家族ケア、死の準備教育、看取り期のケア、グリーフケア、関係機関との連携など、訪問看護師の役割は実に多岐にわたっています。
また、医療処置としては、以下のようなものがあります。
医療用麻薬の管理や持続皮下注射、硬膜外持続鎮痛法の管理、中心静脈栄養・ポートの管理、胸水・腹水ドレナージ、末梢静脈点滴や皮下点滴、褥瘡(じょくそう)・創傷処置、膀胱留置カテーテル、人工肛門、腎瘻・膀胱瘻、PTCD(経皮経肝胆管ドレナージ)、腎盂カテーテル、各種カテーテルや各種ポンプの管理などです。
Q3.訪問看護に関する制度的なことを教えて下さい。
訪問看護の対象となるのは、年齢に関係なくひとりで通院が困難な患者で、主治医が認めた場合です。1回の訪問時間は、介護保険と医療保険の場合とで違いますが、介護保険はケアプランに基づき、1回、20分、30分、60分、90分の区分があります。末期がん患者はわが国では医療保険で対応することとなっていて、1回の訪問が30分~1時間半の目安です。主治医の指示、患者・家族の希望と必要性により、週1~3回などスケジュールを決めますが、病状などに応じて変化します。病状が悪化すると毎日のように訪問が必要な場合もあります。
費用の自己負担は年齢・保険の種類・所得によって違いますが、原則1~3割となります。自己負担が軽くなる制度(公費負担医療制度、高額医療費制度、高額介護サービス費等)もあります。
「こんにちは!訪問看護です!」私達訪問看護師の笑顔で、沢山の苦悩を抱えて歩むがん患者さんとそのご家族に少しでも安心❤をお届けできればと日々走っています。皆さんにとって頼りになる存在となれるようチームの一員として努力してゆきたいです。
田中ひとみ(緩和ケア認定看護師)
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