第51回 在宅ホスピスを希望するならどうしたら良い?
2014-07-01
あなたやご家族ががん患者であり、在宅ホスピスを希望された場合、どうしたら良いでしょうか。
Q1.在宅ホスピスを受けられる人は?
以下のような条件に当てはまる患者さんは在宅ホスピスの適応になります。
① 患者も家族も在宅ホスピスを希望している
② 基本的に通院が困難な状況である
一人で通院できるようなお元気な方は在宅医療を受けることができません。
③ がん患者であって緩和医療や緩和ケアの対象である
抗癌剤治療などのがん治療を行っている方も受けられる場合があります。
④ 症状や医療、処置などが概ねコントロールされており、在宅で行える医療やケアの対象である
症状が著しく不安定であるとか処置の内容によっては難しい場合があります。
⑤ 患者も家族も病気の現状と今後について理解している
在宅ホスピスは、辛さを緩和することで安楽に過ごしていただくためのお手伝いをするのであって、病気を治すものではありません。
⑥ 家族、親せき、友人など、見守りや介護ができる人がいる
現在の我が国の制度では、一人暮らし(独居)の患者さんがお看取りまで自宅で過ごすことはかなり困難です。(第58回)
Q2.まず誰に相談したら良いのですか?
できれば、まず主治医に相談してみてください。もしも、主治医に直接話すのはちょっと抵抗があるようなら、患者さんが通っている病院に医療相談室、地域連携室、退院調整室などがあればその部署の医療ソーシャルワーカーや看護師などに尋ねてみるのが良いでしょう。がんセンターなどのがん診療連携拠点病院では、がん相談支援センターが設置されており、その病院にかかっている患者や家族のほか、地域住民への情報提供や相談支援を行うことになっています。
また、在宅ホスピスを実際に行っている在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションに直接尋ねてみるのも良いでしょう。
介護保険サービスを利用している方は、ケアマネジャー、訪問看護師、ホームヘルパーなどに相談するのも良いでしょう。また、地域包括支援センターは、地域住民の様々な困りごとに対応する役割を担っていますので、だれでも気軽に相談することができます。
Q3.相談してから在宅ホスピスが開始されるまでの流れを教えて下さい。
患者さんが入院中の場合は、患者さんの意向が分かると、病院のスタッフ(医師、看護師やソーシャルワーカー、地域連携室のスタッフなど)間で話し合い、患者さんが在宅で過ごすことが可能かどうか検討します。そして、患者さん・家族の意志が確認でき、在宅で過ごすことが可能と判断されたら、地域連携室のスタッフなどが、患者さんが済んでいる地域で在宅ホスピスを提供できる在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション、ケアマネジャーなどを探します。そして受け入れ可能な在宅ホスピスチームが決まったら、退院時カンファレンス(第42回)を開催し、退院日が決定されるのです。
患者さんが自宅にいる場合は、一般的にはまず在宅療養支援診療所の外来に来て頂くことになると思います。患者さんが来ることができない場合にはご家族だけ来て頂くこともあります。話し合いの結果、ご本人、ご家族が在宅ホスピスをご希望されたら、訪問開始となります。
ソーシャルワーカー 提箸秀典
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