第57回 介護施設での看取り
2014-08-22
「在宅死」と言った場合、「在宅」には「自宅」と「介護施設」が含まれます。老人が住んでいる場所という意味では、介護施設も「在宅」に含まれるのです。また、近年増えてきている「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」は食事付きの集合住宅という感じですので、「自宅」に含まれます。
Q.介護施設での看取りの現状を教えて下さい。
平成24年の我が国の悪性腫瘍死亡数は約36万人でした。そのうち、介護老人保健施設(老健)と老人ホームを合わせた介護施設での死亡数は約7000人でしたのでその割合は2%で、まだとても少ない数です。我が国において介護施設での看取りはまだ不十分と言って良いでしょう。
Q.介護施設で在宅緩和ケアを受けることができますか?
介護施設の中で外部から在宅医療を受けることには制度上の若干の制約があります。しかし、患者さんが末期がんであれば老健以外は在宅緩和ケアを受けることは可能です。老健には専従の医師と看護師がいるので、外部から医療が入ることができないのです。
介護施設で在宅緩和ケアを受けることができるかどうかは、介護施設の方針によるところが大きいと思います。つまり、患者さんが末期がんになってそのままその施設で過ごしたいという希望があっても、その施設が「病状が悪化したら入院して頂きます」という方針であれば、患者さんの希望は叶えられません。その施設が看取りまで看る方針かどうか事前に確認しておくことが必要でしょう。しかし、近年入居者が終末期になっても、希望があれば看取りまで施設で看る方針の施設も増えてきていますし、今後さらに増えることが期待されます。
院長 前野 宏
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